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【鎌倉NIPPON 03】直感 |
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はじめて
AppBankの中心的な二人、
@entrypostmanさんと
@appbank君に会ったのは、去年、2009年の秋だった。ちなみに、この2人はそれぞれ「役職」的にはなんなのか? 当時も今も、
@appbank君が編集長であるとは言われているが、
@entrypostmanさんは「影の支配者」などと呼ばれていて、曖昧だ。mobile ASCIIでは
@entrypostmanさんをAppBank代表、
@appbank君をAppBank編集長としている。自分で勝手に書いておいてなんだが、たぶんこれが一番、しっくりくる「呼称」だ。
2009年9月、電撃からはひさしぶりとなるゲーム
総合誌「電撃ゲームス」に、僕は1つのアイディアを提供した。
電撃のゲーム雑誌では雑誌の終わりの方に情報ページを置くのが定番で、電撃ゲームス第1号の
台割(だいわり。どのページにどの企画が掲載されるかをまとめた表。雑誌の設計図のようなもの)も、御他聞に漏れずそうなっていた。電撃は伝統的に情報ページが弱い。ネット媒体である電撃オンラインも持ってはいるのだが、どうしても電撃の編集部はソフトそのものに向かいがちで、業界動向や新ハード、キャンペーンといった周辺情報には疎い。その弱さを、そのまま表現してしまう情報ページ、はっきりと電撃のゲーム雑誌の鬼門でもあるものを、また、同じようにくり返すのか……。僕はそれを変えたかった。
また、もう1つの危機意識もあった。このままでは「
コンシューマゲーム総合誌」にはなっても、「ゲーム
総合誌」にはならない。巨大なプロダクションが動き、データはなにがしかの円盤に焼き付けられ、パッケージングされて売られるソフトしか載らない雑誌を、「ゲーム
総合誌」と呼ぶことができるだろうか? 言葉の上でだけ言えば、否だ。かといって、
コンシューマゲームを中心に置かないという選択肢もない。雑誌のメインは、やはり
コンシューマゲームの情報を、どう他誌と差別化を図りながら打ち出していくか、だ。となると? 残された道は1つだった。
僕はダウンロード(購入)するゲームに目をつけた。コンシューマの3大プラットフォームには、それぞれソフトを
ダウンロード販売する仕組みがあるし、ダウンロードというくくりを用意すれば、PC、ケータイ、
iPhoneもその範疇に収めることができる。それを情報ページのメインとして大ページを割けば、2つの問題(情報ページが弱い、ゲーム
総合誌として成立させる)に一度に答えを出せる。これが、僕のアイディアだった。実際、このアイディアは好評価を得たのだが、今、あらためて第1号を振り返ってみると、
iPhoneのページは1ページしかない。しかも、とりあげているのはゲームでもなんでもない「
KEN ISHII IMAGE TRANFORMER」(写真を何枚か指定すると、
KEN ISHIIのオリジナル楽曲つきのムービーに変換してくれるアプリ)だ。
「普通、選びませんよ、これ。でも、いいですね」。
後日、
@appbank君には笑われるチョイスで、電撃ゲームスの
iPhone連載がはじまった。
また、このころの僕はまだ、
iPhoneを持っていなかった。
iPod touchにアプリをインストールして、プレイし、作業していた。一部、AR系のシューティングも出はじめてはいたが、カメラを使ったゲームはまったくと言っていいほどなかったので、それで十分だったのだ。とはいえ、自分でアプリを触ったり、
東京ゲームショウでの
林信行さんを中心としたプレゼンテーションを見たりしながら、いつのまにか僕は心ひそかに
iPhone連載ページの拡張を考えはじめていた。この理由もいろいろとあるのだが、一言で言い切ってしまえば、知らないことを知る過程は本当に楽しいということに尽きる。
(連載ページを拡張するためには、
iPhoneも必要だが、誰か、ちゃんと
iPhoneのことを知っていて、書いてくれるライターが必要だ)。
めずらしく謙虚に僕はそう思っていて、そして、目をつけたのが
AppBankだったのだ。
※この文章はmobile ASCII掲載「鎌倉JAPAN」の取材記として書かれています。内容は、倉西自身の主観に基づくものです。