読む。ケイオスリングス(その1)
日米で、オリジナルタイトルで1位を獲得するのは悲願でした
ーーまずは『ケイオスリングス』の前提についてお聞きします。リリースから1か月が経とうとしています。現在の率直なお気持ちをお聞かせください。
安藤武博氏(株式会社スクウェア・エニックス/『ケイオスリングス』プロデューサー/以下敬称略):2008年の12月に当社初のiPhoneアプリ『CRYSTAL DEFENDERS』をリリースして以来、日本とアメリカのAppStoreにおいて「オリジナルタイトルで1位を獲得する」のは悲願でした。それが達成できて素直にうれしく思っています。また、他のスターアプリに並ぶことができて、ようやくスタートラインに立たせてもらったという感じです。
ーー現在までのダウンロード数には、結果として満足されていますか?
安藤:今回はアプリの市場から考えるとそれなりの規模で制作しましたので、正直ドキドキしていたのですが、お陰さまでビジネスになりましたので、ありがたく思っています。
ーー以前から、スクウェア・エニックスにはオリジナルで、なおかつ新作の本格RPGを期待する声が高かったと思います。それについては、どうお考えでしたか?
安藤:レビューに寄せられるお客様の御意見はそれこそ「神様の御意見」くらいに思っていますので、そういった声があるのはずっと気になっていましたし、なんとかして実現しようと動いていました。その流れとしてiPhone/iPod touchでしか遊べないオリジナルRPG『ソングサマナー』をまず昨年末にリリースし、今回の『ケイオスリングス』につなげています。
ーーまた、その声は海外からと国内から、どちらが高いと感じられていましたか? 差はありませんでしたか?
安藤:これまでリリースしてきた作品のレビューは各国くまなく見ていますが、差はなかったと思います。
ーー『ケイオスリングス』を着想された時期、きっかけをお聞かせください。
安藤:『CRYSTAL DEFENDERS』をリリースした直後の2009年1月ごろのことです。当時インディーズと企業の線引きがないAppStoreの中で、コンシューマのゲーム機に比べると圧倒的なスピードとアイディアでインディーズの皆さんがスターアプリをどんどんリリースしていました。
その状況を見て、「インディーズのみなさんにできないこと」で「スクウェア・エニックスにしかできないこと」「お客様がスクウェア・エニックスに求めているもの」は何なのかずっと考えていまして、ふと稲光が落ちたかのように思いつきました。
会社の席では、iPod関連のビジネスを最初から一緒にやっているプロデューサーが向かいに座っているのですが「iPhoneでオリジナルの本格RPGを、メディア・ビジョンさんに創ってもらったらどうだろうか?」と、思いついた瞬間、制作会社さんまで具体的なイメージとして伝えた記憶があります。
「すごくいいアイディアだと思う」と即答で返事がかえってきたので、そのまますぐにメディア・ビジョンさんに連絡をしました。
※この文章は電撃ゲームス 5月21日発売号に掲載されたものです。