【MH3(トライ)開発秘話】#1 モンスター(その5)#MH3
(その4からの続き)
――それが『MH』シリーズのモンスターのリアリティや実在の生物のような存在感につながっているんですね。
辻本 『MH』シリーズのモンスターとしては、リアリティがあるほうがインスピレーションが湧きやすいし、感情移入もしやすいと思っています。デザインを見た際の瞬間的な反応や感性って大事ですよ。
藤岡 こうしてデザインが決定したら、CGでのモデル制作とモーション制作に入ります。攻撃モーションについてはモンスターのイメージと合致する動きであると同時に、ACTとして成り立つものにしないとダメ。より自然な動きに見せるためにデザインを微調整したり、尻尾などの関節を増やしてなめらかな動きにしたりと、ゲームとして煮詰めていくことになります。
――デザインとモデル制作は同じ方がやるんですか?
藤岡 最近は役割分担が進んでいますね。そのぶん、意思の疎通は徹底して行うようにしてます。
――CGモデルに対して意見を出すことは多いですか。
藤岡 デザインも含めての話となりますが、何気ないデザインでもそこに理屈を込めて質感を作ろうとか、いらないディテールは省こうとか、「なんのために、どこをどう見せていくか」という部分に対して細かく指示をすることが多いですね。あとは色味のバランス、シルエットのかっこよさ、かっこいいポーズをとれる身体の作りも意識してます。自分がモーション制作にかかわった経験があるからだと思いますが、シルエットでの主張が弱いモデルは瞬間瞬間がかっこ悪く見えがちなんですよね。
辻本 実はラギアクルスの水中の動きに超感動して、実験的に数週間ほど、まったく映像を出していない時期に先行プロモーションでパセラさんでその映像を流したことがあります。曲待ちの際に15秒くらい見せる形で、タイトルも隠してこっそりと(笑)。みなさんに気づかれるまで、かなり時間がかかりましたけどね(笑)。
――ちなみにモンスター名はいつごろ決まるんですか。
藤岡 開発終盤ですね。雑誌や公式サイトで紹介を行うタイミングになると、さすがに決めないとマズい(笑)。それまでは開発的なコードネームで呼んでます。ラギアクルスなら海竜とか。名付け作業は、スタッフから募集した名前やイメージの元となるような言葉を最終的に僕のほうで形にする流れで、名前の雰囲気や響きが同じようにならないようにと心がけてます。最初に決めた名前はラギアクルスとクルペッコだったかな。
辻本 クルペッコは名前が決まったときに「ペッコちゃんって呼んで」と言われて、かなりウケたなあ(笑)。
藤岡 決めるときは略称で呼びやすいものを考えているんです。クルペッコはかなり名付けに悩んだんですが、ペッコの響きがよかったのでクルペッコに決めました。
(その6に続く)
※インタビュー全文は電撃ゲームス 6月18日発売号に掲載されています。
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