ウィル・スミスといえば…… - ハゲじじいクラフト

幸せのちから
出演：ウィル・スミス
2007年07月25日発売
投稿者の評価: 54点

ウィル・スミスは、ちょっとした僕のヒーローだ。彼の主演作には好きなものが何本かある。たとえば「インディペンデンス・ディ」は、僕の中ではオールタイムベスト5に入る作品だ。大統領（ウィル・スミスではないが）が「今日が人類の独立記念日だ！」と叫ぶシーンでは、何度観ても涙がこぼれる（ヘン？）。「メン・イン・ブラック」は1、2ともに好きだし、「エネミー・オブ・アメリカ」もおもしろかった。こう挙げてみると、いずれもアクション映画だが、僕はアクション映画が大好きなのでしかたがない。さて、「幸せのちから」は、ひょんなことから見ることになった作品だったのだが……残念なことに、評価は高くない。これでアカデミー賞の主演男優賞にノミネートされているらしい（そういえば、今日にも発表されますね）のだが、どうだろうか……。確かに、ウィル・スミスは悪くはない。悪くはなかったが、彼の魅力は活かされていなかった。カメラワークが特段悪かったというわけではないので、おそらくはシナリオか、あるいは編集に責任があるのだろう。この映画の最大の問題は、変化がないことだ。前評判というかプロモーションでは、一文無しの状態から、父と子の二人で脱却する物語だとされている。ありていに言ってしまえば、結論、脱却するのだが、脱却後の生活は描かれない。カタルシスなく、映画は幕を閉じる。似た印象を「宇宙戦争」でも受けた（ちょっとジャンルが違いますが）。彼が売り歩く妙な機械（骨密度スキャナー）、この映画の中で唯一の雨のシーン、ルービック・キューブ等、小道具はいくつもある。ただそれも散乱し、一瞬、観る者の視線を奪うのだが、散漫な印象しか残しはしない。家を出てしまう妻のリンダに至っては、出て行きっぱなしで、何のフォローもない（それはなくてもいいかもしれないが）。少しやせて年をとった印象を与えるウィル・スミスは、全編、その印象のままだ。唯一、この映画で評価できるとすれば、ウィル・スミスの演技力と、親子共演となった部分のリアリティだ。親子だからリアリティがあるというのではなく、やはりウィル・スミスという役者には力があるという意味で。といっても、救いがそれだけではいかんともしがたい。ちなみにこの映画、新宿に新しくできたシネコン・新宿バルト9で、土曜の夜に観た。客足はまばらだったが、映画館は悪くない。新しくて清潔感があって、座席も座り心地はよかった（僕が観たのはシアター6。他のスクリーンがどうかはわからない）。他にも観てみたい映画がかかっているので、また行こうという気にはなる。ちなみにシアター6のK列に座ったのだが、スクリーンの大きさ、客席の傾斜を考えると、ここではK列くらい後ろがベストだったのではないかと思う。約2時間強の上映時間で、隣の席の人は3回、大きなあくびをして、野菜ジュースを1本、飲み干した。前回の映画レビューで書いたからというわけではないのだが、ポップコーンは食べなかった。それが、もしかしたら、この映画の評価なのかもしれない。