【MH3(トライ)開発秘話】#1 モンスター(その10)#MH3
(その9からの続き)
ジエン・モーランとナバルデウス
特別な意味が込められた2大モンスター
――ここからは特殊なポジションにあるジエン・モーランとナバルデウスについてお聞きします。まず、ネットワークモードにしか登場せず、船に乗りながら狩ることになる超巨大なジエン・モーランについてはどうですか。
藤岡 ターニングポイントで出てくるモンスターは何かしらテーマ性を持たせたいと考えているんです。今回は「泳ぐ」ということに注力してみました。もともと砂と海は『MH3(トライ)』の街と村のそれぞれのテーマでしたし。途中のデザイン案からの変更は少なく、「砂漠で船に乗りながら狩る」というイメージイラストも早い段階からありましたね。
――街では恵みの象徴という設定もおもしろいですよね。砂嵐が来たらジエン・モーランが来るという仕組みもあって、街に行くと砂嵐が待ち遠しくなります。
藤岡 ネットワークモードでは、みんなが意識を1つにできるような仕掛けを毎回用意していきたいんです。今回は、街全体から「ジエン・モーランの狩りが目的」という雰囲気が出ていて、いい仕掛けだったと思います。
辻本 クエストも楽しいですよ。背中に乗って爆弾を仕掛けたり、採掘したりするハンターまでいて(笑)。
藤岡 上に乗ってウロウロできるモンスターを作りたかったんです。ラオシャンロンも背中に乗れますが、すぐに振り落とされてしまうし、できる行動も限定的だったじゃないですか。もっと自由に動けるモンスターにしたいとデザイナーと話し合って、そこから鉱山を背負っていて採掘ができるといった設定が生まれました。
辻本 イメージイラストを見たときから、船に乗って狩るのが楽しみでしょうがなかったんですが……実現するまでが長かったんですよ。いつ藤岡に聞いても「今はまだええやん」みたいな感じではぐらかされてばかり(笑)。
藤岡 なかなか実現の見通しが立たなくて大変でした。今回は見送ることも覚悟したくらい、長かったですね。
――逆にナバルデウスはシングルモードでしか登場しませんが、そういう仕様にされた理由はなんでしょう?
藤岡 モガの村に直結したモンスターを仕込みたかったからです。『MH3(トライ)』は今までのシリーズ以上に物語性を意識した作りにしていたので、クライマックスで物語につながるモンスターを登場させることで、ナバルデウスが強く印象に残るようにしようと考えていました。物語と密接にかかわるモンスターというのが、ネットワークモードに出していない大きな理由です。
辻本 ちなみに『MH3(トライ)』の原則として、「水中での狩猟は入れるけど、それを強制する形にしない」という事項がありました。でも、ナバルデウスはその発想を逆手にとって水中だけでの狩猟にしちゃうとか、いろいろと特別扱いをしてますね。
――クエスト中に歌が流れるのも特殊ですよね。
藤岡 音楽のスタッフから「歌を入れたい」と言われたのですが、『MH』シリーズでは初めての試みでした。今までのシリーズでは本格的にはやってこなかったんですけど、ナバルデウスは見るからに神秘的じゃないですか。絶対にマッチすると思い、決断したんです。
(その11に続く)
※インタビュー全文は電撃ゲームス 6月18日発売号に掲載されています。
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