【鎌倉NIPPON 07】横浜中華街

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20100630033318 「12月に、忘年会やるんです。いろんなメーカーさんを呼んで、iPhoneアプリの話をして、それをAppBankの記事にして、ポッドキャストも流すような。そんなの考えてます。ぜひ、倉西さんも来てください。これからiPhoneの連載やられるんだったら、絶対、プラスになりますから。いろんな人を紹介しますよ」。 はじめて会ったその日に@appbank君から誘われたこの会は、12月某日、横浜中華街で開催された。テーマは「ぶっちゃけ iPhoneゲーム どうよ」。iPhoneゲームをリリースしている国内主要ゲームメーカーの担当者が一堂に会したのだが、不思議と和気あいあいとした雰囲気があった。長年ゲームメディアに関わっている僕には、ちょっと奇妙に感じるほどに。ゲーム業界では、表立って競合他社が同席し、話しあう機会は少ない。SCE等のプラットフォームホルダーが開催するパーティか、あるいはなにかのシンポジウムくらいのものだろう。この会は、後者に性格が近かったかもしれないし、半ば非公式な場であるという安心感もあったかもしれないが、参加者はかなり自由に、まさに「ぶっちゃけ」て話していた。 先日、この会にも参加していた安藤武博さん(スクウェア・エニックス)と話したのだが、iPhoneに関わる人間には協力しあおうという傾向がある。ゲームメーカー各社、あるいはメディア各社の内部にいて、iPhoneに関わる人間は似たような境遇にあり、似た悩みや考えを持っているのかもしれない。それは決して簡単な状況ではないと思うのだが、それでもiPhoneに関わろうとする時、会社の垣根を越えて、ともに戦う同志のような目で相手を見てしまうことがあるのだ。この傾向が、中華街での和気あいあいとした雰囲気を生んでいたのだろう。かつてPlayStation黎明期にも、そんな空気感があった。僕にとって、この会社組織の垣根を越えて、誰とでも会って好き勝手に話せるという状況は非常に居心地がいい。いや、正直に言えば、その状況になじめる自分を気に入っているだけなのかもしれないのだが。 この時に交わされた会話の一部は、AppBankの3つの記事に残っている(関連記事:NG発言連発!大手ゲームメーカーが激論を交わした「ぶっちゃけ iPhone ゲームどうよ」ログ公開。スクウェアエニックスのiPhoneゲーム観、ブランド構築。【その2】iPhone ゲーム市場はアーケードゲームに似ている。【その3】)。だが、この3つの記事で伝わるのは、極一部だ。会社名、素性を隠さなければならない参加者がいた(記事中でも「X氏」として書かれている)うえに、中盤以降の話の内容があまりにも生々しすぎた。録音もしていたので公開に問題がある場合は「カット」と宣言してから話すというルールがあったのだが、中盤以降は宣言もないままに、ほぼすべてが「カット」の内容だった。あれを記事にまとめるのは、まず無理だと言ってもいいくらい難しいだろう。僕自身が書き留めていた当日のメモも、最初のうちは何か所かに「書いてはいけない」ことを意味する丸がこみの(NG)が添えられているが、途中からそれはなくなっている。ほぼすべてが(NG)だったからだ。 ただ、この会の意味、意義は、僕にとって大きかった。電撃ゲームスのiPhone連載、その準備期間から数えてもまだ4か月程度だった当時の僕は、この会で、iPhoneゲーム、iPhoneというプラットフォームについて感じていたいくつかの疑問に答えをもらうことができた。収穫は大きかった。中でも、やはり印象に残っているのは安藤さんの発言だ。AppBankの記事でも一回を割いてまとめられているが、安藤さんの特徴的な発言をいくつかまとめてみよう。 「コンシューマゲームの場合、日本で作るものはまず日本で売れてからでないと海外市場で発売してもらえませんでした。iPhoneはいきなりAppStoreで世界市場を相手にできるのがいい。だからこそ逆に、スクウェア・エニックスのゲームはキャラクターデザインでひよったりはしていません。アメリカのマーケティングスタッフに見せると「わからない」というようなことも言われますが、そこは妥協していません」。 「スクウェア・エニックス クオリティという言葉があります。AppStoreのレビューでもよく書かれるのですが、「スクエニのくせに」とか「スクエニのわりに」という意見です。それはきちんと受け止めています。やっぱりスクウェア・エニックス クオリティに達したアプリを作って、リリースして、それで喜んでいただいているんですから。たとえばすごくライトな、ネタみたいなアプリを出すことがあっても、スクエニらしくなければならないと思います。重厚長大だからこその動き方があると思ってます」。 「実はこのところ、多くのインディーズの開発者さんたちと会っています。インディーズでやりながら、うちと、スクウェア・エニックスと組むようなやり方があるんじゃないかと思ってるんです。もちろんうちと組んだからといってエージェントみたいにぬくようなことは考えていません。スクウェア・エニックスをうまく使ってもらうようなことができないかと考えているんです」。 最後の発言にはまだ具体的な答えが出ていないが、大手デベロッパーが取り組む企画として非常に興味深いところだ。電撃ゲームスのインタビューでも、安藤さんはこう答えている。 ーー安藤さん御自身が、次に手がけてみたいiPhoneゲームがございましたら、アイディアのヒントレベルでかまいませんので、お聞かせください。 安藤:ひとつはお客様がスクウェア・エニックスに抱いている「期待」や「予感」をなるべく裏切らないような作品であることを大事にしていきたいと思います。あとは、やはりiPhoneならではのチャレンジは続けたい。また、同じくiPhoneアプリに挑戦しているディベロッパーさんと国内外問わずにコラボレーションするなどもおもしろそうですね。たとえば日本のランキングではTOP10に物書堂さんの辞書アプリが常にランキングされています。そういったゲーム以外のアプリ制作のチームと、スクウェア・エニックスがコラボしたりしても、刺激的かもしれない。ジャストアイディアですが「辞書」meets「RPG」とか? 細かな条件、根拠は省くが、従来的な観点でのビジネスで捉えようとすれば、安藤さんの言うことは成立しないだろう。それでも、僕は安藤武博というクリエイターに大きな期待を寄せている。旧来の因習を打ち破るような、iPhoneだからこそ可能になるような、そんな新しいスキームを構築して、今以上に豊かなラインナップで楽しませてもらいたい。 実はこの日、本来は司会を務めるはずだった@entrypostmanさんが急な発熱で参加できなかった。 「僕はそんなキャラじゃないんです」。 何度もそう言いながら@appbank君が司会を務めたのだが、もちろん大きな問題はなかった。ただ、一人が欠けたことによって、@entrypostmanさんと@appbank君の二人の役割分担を、より明確に理解することができた。簡単に言ってしまえばオモテの顔として立つ@entrypostmanさんと、AppBankの内側を志向する@appbank君なのだが(こう言い切るのも、少し違う気はする)、今振り返ってみれば、このころから、AppBankという活動体、コンセプトは二人だけで回していけるものではなくなりつつあったのかもしれない。これだけのメンバーを集める会合をオーガナイズできる存在に成長しながら、結果としてレポートが尻すぼみになってしまったことも、その激しい成長速度と到達した地点の高さ、それに対して小さすぎる組織という齟齬を象徴していたような気がする。 しかし、@entrypostmanさんと@appbank君の非凡なところは、「自分たちはこうなりたい、こうなっていくべきだ」という(聞いているだけだと)思い込みにも似た信念を持ち、それを1つ1つ実現してきたという結果にあるのではない。それに対する準備を着実に進め、「こうなるはずだ」をかたちにしてきた計画性の高さと周到な準備にこそ、僕はいつも驚かされるのだ。彼らはいつも自分たちの今日と明日に必死で、同じようにiPhone市場の今日と明日についても真剣だ。 横浜中華街での会合、「ポケットべガス」のリリース、アップルストア銀座でのプレゼンテーション。このおよそ3か月の間に、AppBankの見え方と性格は大きく変化した。また、この時期、@kazuend君、@toshism君という新メンバーも迎え、組織としてのAppBankも、その姿を変えている。 次に変化するのは、AppBankが果たす「役割」と「機能」だった。 ※この文章はmobile ASCII掲載「鎌倉JAPAN」の取材記として書かれています。内容は、倉西自身の主観に基づくものです。
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