【狩られ道亜種 2/2】しょせんは「狩られ」道なのだ、だからこそ！[倉西]

無愛想にもほどがある先輩の表情、顔面、その右半分が大きく歪みました。それは驚きの表現ではありませんでした。たとえば爬虫類が苦手な人がトカゲかヘビを見た時のような、あきらかな嫌悪感が伝わってきました。知らない人が見たら怒ってるとしか思えないような、そんなふてくされた感じで男塾先輩はゆっくりとポケットからiPhoneを取り出し、僕との会話を一方的に打ち切り、ツイッターかなんかをチェックしはじめました。ほんっと態度悪いよな、おまえ、俺の話を少しは聞きなさいよ、聞いてくれないなら書くぞ！　よし！　書こう！

「ほんっと、倉西さん、自分好きですよね。だって、「モンハン」のキャラはSEIICHIだし、他のゲームでもたいていキャラは「せいいち」とかじゃないですか」。

「うん、当然じゃん。だってさ、画面の中でがんばってるアイツは、俺自身なんだからさ！」。

これは飲み屋なんかで何度も何度もくり返されたというか、最近もくり返している野村＠電撃ゲームス副編集長との会話です。野村が言うにはですね、ゲームをプレイする大きな楽しみの1つが想像することである、と。リアルな自分は男だとしたら、女性キャラを選ぶというのは現実とは異なることを想像して楽しみたいからだというんですね。もちろん名前もNOMURAとかつけたりはしないわけです。なんか……なんだっけな……ヤツのキャラクターネーミングにもヤツ特有の決まりがあったような気がしますが、まぁ、そんなことはどうでもいいでしょう。いろいろと想像しながらゲームを楽しみたいという野村的な見地に立てば、僕、倉西誠一が、キャラクターにSEIICHIなんて名前をつけることはあり得ないことなのだそうです。

そう言われてみると、確かに僕は想像力に欠けているかもしれません。今回だって、いろいろと野村が言うような「想像」をしたくて女性キャラにしたわけではまったくもってありません。ただ単にファーストキャラが男性だったから女性にしたまでのことです。女性キャラなのでボイスが当然違うわけですが、結局のところ、kararecoも僕なのですから（言い切っていった！）。

ただ、一点だけ、僕個人にとって前回スタート時点（「2nd」まで遡ります）と大きく違うのは、「狩られ道」という本を出させていただいたということです。まさかあんな本を、まさか2冊も出すとは思っていませんでしたから！（ありがとうございますありがとうございます）　そのブランドといいますか、多くのハンターさんたちと共有させていただける個人的な思い出を大切にしたい、そう思って名づけました、karareco。

てなわけでございまして！　本当にはじめています、セカンドキャラ。そしてそれが女性であり、彼女の名前がkararecoであることも事実です。小学生以下のネーミングであることもよくわかっていますし、幼稚園児だって、そんな名前はつけないだろうということも承知しています。それでも、僕はそんな名前にしてしまいました。ルックス的には、以前、いっしょに狩猟笛バンドを組んでいたダイックさんのキャラに近くなってしまいましたが、それは偶然ですというかそうなっちゃう気持ちはわかったw

でも……karareco……か、ら、れ、こ。

声に出して読むととてもかわいくないので、あんまり人には言わないようにしようと思いました、今。そして、彼女≒僕には、もう1つの重大な秘密、チャレンジがあるわけですが、それはまた別の機会に……。（201002072153）

※この文章は電撃ゲームス 2月19日発売号に掲載されたものです。