2009年12月3日、「パワポケ12」発売。 [七]

20090923 パワポケ7.jpg※この文章は2006年5月に書かれたものです。ブログへの掲出も複数回目になります。写真と文章は関係ありますが、文中、説明はございません。 やや神経質そうな風貌の山本だが、その言葉は「最も若く、最も最近参加した」という枕詞とは異なる自信を感じさせた。倉西も何かを感じ取ったのか、あまり多くを質問することなく、微笑んでいる。山本が席を立ち、四時間超に及んだ「パワポケ」スタッフ面談インタビューは終了した。 カメラマンが後片付けをする、その物音だけが会議室に響いていた。藤岡はすでに会議室を後にしていた。「おつかれさまでした」。小津が倉西に声をかける。「谷渕、まだぬけられないみたいなので、この後の会食でインタビューにしましょうか」。小津と担当編集者がこの後の段取りを確認する。インタビューを終えて、さすがに疲れを意識したのか、倉西は無言だった。メモを取ったiBookの画面を確認して、ゆっくりとふたを閉じ、カバンにしまい、「じゃあ、後で」、簡単に小津に声をかけて、倉西はパワプロプロダクションを後にした。 土曜の午後は、道頓堀アワーに吉本新喜劇、 合計二時間、みっちりお笑いが放送されるんだよね。 会食場所である鶏料理の「とり藤」は、パワプロプロダクションからひと駅ほど歩いた福島駅のガード下にある。二年前、はじめて倉西がパワプロプロダクションを訪ねた時に偶然見つけた店だった。それ以来、パワプロプロダクション御用達の店になっていて、藤岡が描いたパワプロクンの色紙が、「大阪名物パチパチパンチ」で有名な吉本新喜劇島木譲二の色紙と並んで飾られている。 西川さんが言ってたよね、関西の原風景って。商店街、住宅街、河原。「パワポケ」ってさ、やっぱり関西の子どもが作ってるゲームなんだよね。決して今の子どもじゃないのに、今の子どもたちにウケてるっていうのはスゴイ。これは極論かもしれないけど、関西の子どもはね、笑いの英才教育を受けるんだよ。土曜の午後は、道頓堀アワー(寄席中継)が一時間、吉本新喜劇が一時間、合計二時間、みっちりお笑いが放送されるんだよね。学校から急いで帰ってそれを見ながらお昼を食べて、でもって遊びに行く。そういえば夏といえば、なんであんなにそうめんだったんだろうとか思うけどね。で、遊びに行くっていっても今みたいにゲームがあったり何があったりってワケじゃないからさ、たいてい校庭で野球なんだよ。 倉西が言いたいことはわかった。倉西が話した関西の子どもの土曜の午後には、そのまま「パワポケ」の基礎構成要素がまとまっている。笑いと野球。これに当時流行っていた特撮ネタ特有の感覚や、現在のネットを中心としたマニアックなブームを組み合わせると、「パワポケ」ができあがると言ってもいいかもしれない。だが、倉西はそんな批評家的な分析を否定する。 吉本新喜劇の本質は、おもしろうてどこか悲しいってことだと思うんだけどさ、あまり表面に出てくることではないけど、「パワポケ」をプレイしていると、花紀京さんって役者さんのことを思い出すんだよね。たいていストーリーの主軸からは離れたキャラクターを演じてるんだけどさ、近所のおっちゃんとか。たとえばね、頑固オヤジがやっているラーメン屋がある。そこの一人娘、看板娘が、ある日、一人の若者を連れてくる。「この人と結婚したいの」とか言うわけ、ベタな展開だから。でね、頑固オヤジは当然、反対するんだけど、岡八郎さんやいろんな人たちの協力があって、ラスト、二人の結婚を頑固オヤジも認めるんだよ。男手ひとつで育ててきたた娘の結婚だよ、ちょっと泣けるいいラストシーンでね、頑固オヤジは小汚いエプロンのポケットから封筒を取り出すわけ。娘が結婚する日のためにと、こつこつ貯めてきたお金だよ。二人の方は見ないでねというか見られなくてね、「これ、渡してやってくれ」と。で、それを受け取るのが花紀京さんでさぁ、指にツバつけてそれを数えて半分くらい抜いてから二人に渡すんだよね、「少ないけどな、これ、わしからの気持ちや」とか言って。なんでやねん! で、全員が突っ込んで、音楽が流れて、おしまい。かっこ悪いの、ベタなの。でもね、そのなんというかなぁ、みんながしんみりしてるところにちょっかいを出して笑いを生む感覚? わかる? それがね、「パワポケ」に通じるものがあると思うんだよね。 藤岡と小津、そして「パワプロ」のプロデューサーを務める遠山が座敷に上がってきた。谷渕はやはり遅れているらしい。遠山は、手慣れた様子で食べ物をオーダーし、焼きはじめる。藤岡も倉西もビールだが、倉西はぐでんぐでんになるまで飲む。藤岡は決してそこまでは飲まない。「改めて……」。倉西が切り出す。「今日は酔っぱらってしまう前に藤岡さんとパワポケの話しなきゃ」。藤岡が笑う。質問は同じだった。藤岡にとって「パワポケ」とは? 好きなようにやらせてもらってます。コナミという会社の中で、こんだけ好きなようにやらせてもらってるタイトルって他にあんのかなぁ、「パワポケ」は本当に好きにやらせてもらってますねぇ。 藤岡は何が「パワポケ」なのかと特定するような答え方はしない。藤岡の答えは、ある種の空気を示している。藤岡にとって重要なのは、「パワポケ」が「パワポケ」であるということではなく、むしろ「パワポケ」チームが「パワポケ」チームであるということなのだろうか。面談インタビューで十人のスタッフのほぼ全員が口にした「企画が通る」「自由にやらせてもらえる」「妄想を具現化できる」、そういう空気を統括プロデューサーとして守りつつ、作品を仕上げていくことに藤岡は腐心しているのかもしれない。 インタビューを振り返りながら、倉西と藤岡の会話は続く。遅れて参加した谷渕に焼き上がった鶏肉を勧めながら、ふと、遠山が藤岡に話しかける。 藤岡さん、でも、よう絵ぇ描いてはりますよねぇ、忙しいのに。僕なんかさっぱりですわ、最近。 ※倉西のテキストは、Mac OSで書かれています。 twitter ユーザー名 kararemichi MH3(tri-) ハンターネーム:SEIICHI ID:DY2FGH

 

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