待つか……。
ひさしぶりに、僕は落ち着いてそう思いました。かつて、まだこれほどの知識も経験もなかったころ、僕は必ず隣のエリアまで逃げてから薬を飲んだり武器を研いだりしていました。まったく自信がなかったですからね、モンスターがいるエリアで回復するなんて（ついでに言えば、誰かと回っている時は、最初から最後までモンスターを見ないこともありましたけど、それは関係のない話ですね、すいません）。この臆病さはいいことだと思います。すぐ慢心してしまって、忘れましたけど、そんな気持ちは。
怒り狂っている
ティガレックスには近づかない。怒りが収まるまで待つ。さすがに隣のエリアに逃げ込むまではしませんでしたが、何度か攻撃をかわしているうちに、彼も落ち着きを取り戻すようでした。怒りが収まったところで、再び攻撃を仕掛けました。もちろん、そこまで追いつめられているわけですから、ちょっと攻撃しただけで、またヤツは怒り状態に戻ってしまいます。「なんだよ！ 終わりじゃねぇのかよ！」みたいな、なんかそんな感じ。ちょっと人間くさい。
ちょっと突いて怒られて逃げ惑い、落ち着いたらまたちょっと突いて……ということを何度か繰り返し、ついにその時がやってきました。エリア2で、
ティガレックスが足を引きずったのです！ 長い、本当に長い激闘でした。足を引きずるその後ろ姿を長めながら、感極まった僕は△+○を入力していました。もはや大した速度もなく、うなだれる
ティガレックスに追いつくのに、それほどの時間はかかりませんでした。尻尾の先から、僕の突進が入りました。
ビシッ、ビシッ、ビシッ、ビシッ……。
それは偶然でした。足を引きずる
ティガレックスの背後から入った僕の突進は、前進するヤツの身体を突き抜けきれず、２人はすっかり重なったまま、かなり長い距離、砂漠を進んでいきました。それもタイミングよく、
ティガレックスが一歩進む毎に一撃、僕の突進の当たり判定が発生していました。そもそも足を引きずった時点で攻撃する必要はなくなっていたわけですが、それでもなぜか△+○を入力してしまった僕は、呆けたように、その様子を眺めていました。進入角度が微妙にずれていたためか、しばらくして僕はヤツの身体を突き抜け、ヤツはエリア9に逃げました。
もちろん捕獲は成功し、僕はランスでも目的を達成しました。
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