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（前回から続く）
フルフル亜種を倒し、「
リオレウス討伐指令」に移るころ、斉藤君が到着しました。
「えっ？ 俺、倉西さんチーム？ なにやるんですか？ あ、レウスですか、じゃあ、鬼神斬破刀、持ってきます」。
さっと
PSPをとりだし、ACアダプターをセット……斉藤君のきびきびした動きには、かなり期待できそうです。「斉藤の尻尾切りは、ちょっと見物ですよ」。小松君が言いました。実際、彼はうまく立ち回っては
リオレウスの後ろに回り込み、尻尾を攻撃、あっさり切り落としてしまいました。イケる！ これはイケる！ 失敗を繰り返している野尻君チームに、追いつけるかもしれない。そう思った時でした。斉藤君のケータイが鳴りました。彼は安全なエリアに移動し、ケータイに出ました。「あ、はいはい。はい、大丈夫です、はい」。仕事の電話でした。先輩と僕は攻撃を続けましたが、1人離脱は痛い……。
「緊クエ（緊急ク
エスト）だ、緊クエ」。
斉藤君が一生懸命、電話で話している横で、半澤君がからかっています。仕事の電話だよ？ 少しは気をつかってやれよと言いはしましたが、それはウソ。自分のチームの人間が早く帰ってきてほしいという一心でした。そして、この時、野尻君は無事にHR6に上がるためのク
エスト「異常震域」を終わらせてしまいました。僕よりも一歩先に、彼はHR6になりました。しかも、上位の
ティガレックスを2頭倒したことで、「轟竜の～」素材がいくつか手に入ったので、レックスSシリーズの防具を作りはじめていました。ほどなく、僕も「
リオレウス討伐指令」を終え、「異常震域」に挑むことになりましたが……。
「なに？ 倉西君、異常震域？ 行くの？ 手伝ってあげようか？」。
野尻君が、おおいばりで言いました。「くん」呼ばわりです。ここでもし野尻君をチームに入れて勝ったら、一生、「倉西をHR6にしたのは俺だ」と言われ続けます。それだけは避けたいと思ったのですが、どうも別な意図があるような気がして、チーム替えを行い、小松君・野尻君・倉西で挑むことになりました。野尻君と僕がそろうという戦力的な不安はあったのですが、
ティガレックスはけっこう慣れてきていたので、まぁ、大丈夫かなぁと、ぼんやり思っていた僕の目に、異様なキャ
ラクターが飛び込んできました。集会所に……もしこれが現実世界だったら、確実に「変態！」と叫ばれてしまうようなヤツが一人、います。野尻君でした。彼は手に入れた素材でレックスSシリーズを作っていたのですが、どうしても頭の分の素材が足りず、頭だけキリン装備という出で立ちで現れたのです。はっきり言って、異様です。
ティガレックスの強力な爪を模した首から下に、白い馬のかぶりものです。キリンシリーズでそろっている時は気にならなかったのですが、これは……どうなのか。どう見ても、おかしなかぶりものにしか見えない。
（最終回に続く）
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