【iPhoneアプリ勉強会/第2回 3/3】講師:浅田康之さん(NagisaWorks/代表作:「i文庫」「i文庫HD」)
※1回1回があまりに長くなってしまうので、記事は3つにわけて公開します。
●過去に、これは参考になった! というカスタマーレビューはありましたか?
浅田:きっつーいレビューを見ると、2、3日はふてくされてます。もうばっきばきに心折れまくってます。もう心折れすぎて折れるところがなくなって、きっついレビューに関しては「なんかゆうてはるなぁ」と、他人のアプリのことのように見ています(笑) いいことを言ってもらえると、そりゃ、うれしいですね。
質問:高いカスタマー評価を維持する秘訣はありますか?
浅田:秘訣はないです。やるべきことをやる、努力を続けるということ以外、できることはないと思います。どんなジャンルでも、見た目のいい画面だけ作って、はずみでDLさせるような方法は、もう通用しないと思います。やり続ける以外ないです。
続けるということでいえば、アップデートも続けなければいけないのですが、あまり短い期間でやっていってもユーザーさんが追いつかないんじゃないかと思います。ほどほどがいいんじゃないでしょうか。
●「i文庫」を開発していて、行けるぞ! と実感できた出来事はありますか?
浅田:実は「i文庫」は、1位は一回しかとってないんです。12月にリリースしたんですが、その月末だったかな? 1位になりました。その時は、あっ! と思いました。ただ、1位になるために、なにかをやったことはないです。うちには広報的なセクションはないので。結果的になったとしか言えません。クチコミで広げていただきましたが、それも意図してやったことではないんですよね。
質問:「i文庫」がうまくいった一番の理由は何ですか?(ネーミング、品質、それとも……)
浅田:名前は、ほんとは誰かにつけてほしかったんですが、誰もつけてくれませんでした。文庫くらいの大きさやから「i」つけとけって。その程度のもんです。アプリの名前はわかりやすければいいと思います。「BizCard」て、そのまんま名刺ですし。わかりにくいのは避けてますね。
うまくいった理由は、できるだけよくしようとがんばっている、それだけです。その結果だと思います。ただ、結果に対して、どうこうはないです。
宮下:紙の本は読まれますか?
浅田:紙の本は、普通に読んでます。「i文庫HD」は紙の本を意識しながら作りました。内容ではなく、デザインですね。かたわらに数冊、小説を置いてやっていました。行間を定規で測りながら、こんなもんかなぁと思いながら。
●村井:「i文庫」のこれからの進化についてお聞きしたいのですが。
浅田:これからの進化ですか? いや、こんなもんですよ。課金システムを導入して疑似iBookストア? そんな話はないです。もしやるなら、それは新しいアプリでやるんじゃないでしょうか。
ePub形式については、データがそろってくれば……ですね。青空文庫から変換されてデータはありますって言われてもねぇ。ドラフトがきちんと決まっていません。フォーマットの名前が一人歩きしている印象です。コンテンツが大事でしょう。
宮下:次はなんのアプリを作られるんですか?
浅田:本気で、考えてないです。「i文庫」だけです。次にもり込みたいこともありますし。そうですねぇ、iPadでなにかやってみたいとは思いますねぇ、画面が広くて、可能性の選択肢が多いので難しいですけど、アイディアはあります。
脇:iPhoneアプリ開発の経験がないと、iPadアプリは開発できないものですか?
浅田:レンダリングについては、iPhoneの経験が生きてますね。でも、アイディアがあれば、いきなりiPadでもいけるんじゃないでしょうか。
村井:アプリの外販と言いますか、BtoBについてはどうお考えですか?
浅田:可能なら……と思いますが。結局、みんなこっそりやってて、うちはベンチマークにされるんちゃいますか?(笑)
村井:いやいや、そんなことはないでしょう。僕たちにも浅田さんを紹介してくれという話が多くきますよ。
浅田:はぁ、そうですか……。結局、やりたいんですか? という話だと思います。出版社さん、どうしたいんですか? と。ちゃんとしたプランがあって、ユーザーさんのためにこうしたい、こうするんだということが明確であれば、御協力はしたいです。そういう点で、ダイヤモンドさんと高山さんの関係はいいと思います。やるぞ! という感じがします。その出版社でトップ、一番売れているものを持ってくればいいんや! という話ですよね。みんなが読みたいものを持ってきてくれれば。
宮下:電子書籍、あるいは電子書籍アプリは今後、普通に一番売れるものになると思いますね。
浅田:レビューすんの?
宮下:感想文を書くしかないと思うんですよね(笑)
村井:Androidについてはいかがですか?
浅田:やってみたいですけど、デバイスがどれなんやということはありますね。デバイスにとらわれないサービスを提供するというなら別ですが、アプリを売る形ができてないですね。Appleがやってるような形がなければ、うちだけではなく、どこもできないと思います。
●宮下:App Storeでやるというのは、どういうことだと思われますか?
浅田:ジョブスの手のひらで踊ることです(笑)
宮下:ケータイではない、インターネットでここまで普通にものが売れるのは不思議ですよね。
浅田:App Storeのいいところは、ちゃんと規制があるところじゃないでしょうか。いろんな意味で完全に野放しな環境では、ビジネスは成り立たないと思います。適切に手が入っていないと。
村井:アプリ開発を続けるモチベーションを維持する秘訣を教えてください。
浅田:心はぼきぼきですよ(笑) プログラマーなので、アプリを書いている時は楽しいです。自分が、そのアプリをほしいかほしくないかということですかねぇ。好きでやることが秘訣ですね。みなさん、できるだけ楽しくやりましょう(笑)
宮下:今日、お話をお聞きして完成度に対する執念はハンパないなと感じました。勉強になりました。ありがとうございました。
●次回予告
村井:これで第2回iPhoneアプリ勉強会は終了です。次回は8月6日19時、物書堂の廣瀬さんをお迎えして開催します。また、その次は9月10日19時からですが、ゲストはまだナイショです!
このあと紹介されたAppBankのキャンペーン「はりましょう! 2010」については割愛。詳細はこちらで。