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【鎌倉NIPPON 01】五島の庭で |
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作家/
村上龍には数々の名言、名エッセーがあるが、僕は、これが最も好きだ。
「テニス、F1、サッカー、いろいろなものを見てきたが、結局、僕は自分にしか興味がない。現場に向かい、自分がどう感じるのか、自分の中に起こる変化にしか興味がないのだ」(要旨)。
ものを書く、ものを書こうとする人間の孤独と本質を鋭くつかんでいる。
mobile ASCIIのために「鎌倉JAPAN」を書き、それと対をなすものとして「鎌倉NIPPON」を書いた。直近の作業スケジュールを考えると、どうしても昨日、書き上げなければならなかった。昨日は出社せず、こもって書き上げた。「15回くらいになるかなぁ」と、なんとなく
@appbank君に伝えていた回数通りに終わったのは偶然だ。また、もう1つの偶然があった。最後の回は「AppBankニュース・セントラル ユー・アー・マイ・フレンド」について書くということは、早くから決まっていたのだが、書き上がったのは、ちょうど18時半だった。あわててブログにアップして、配信を見た。当初、冒頭にはいつもの
@entrypostmanさんのあいさつを書いていたのだが、昨日のあいさつを聞き取って、その場で書き直した。
「鎌倉NIPPON」には、書かれていない1回がある。未完であるということではなく、現時点ではその1回として公開する必要がないと判断したもので、1文字も書かれてはいない。僕の脳内にしかない。それをどこに差し込んだものかもわからないし、おそらくそれは「書く」というよりも「語る」ことに近い内容になる。だから、僕は、文字を綴ろうと思えばできるその1回を、書かなかった。逆な見方をすれば、それがないために「鎌倉NIPPON」は画竜点晴を欠くという印象を持たれるかもしれないが、そうではない。これは書き手としての僕のクセだが、僕はこれだけの長さの文章を書く時に、行間以上に章と章の間でなにかを表現しようとする。もしめんどうなら、全15回、最初の段落と最後の段落だけをつなげて読んでもらってもかまわないくらいだ。でも、いつか機会があれば、それも書いてみたいとは思っている。
いや、これ、本にでもするのか? って文章でしょ?w 勢い的に。
AppBankさんの記事タイトルじゃないけど、ネットで読んでもらうのは、ちょっと違うかなぁとも思ってw
こういう文章を書いたのは、これで3回目だ。1つは
PlayStation2発表の時。1999年秋の
東京ゲームショウで配布された公式パンフレットは僕が書いたのだが、あの文章と今回の文章には通じるものがある。次は「
パワプロクンポケット」だ(数年前に大阪取材記を書いたことがある)。僕自身にとって特別な文章であることはまちがいなく、その最新のテーマである
AppBankが、一番、難しかった。だから今、こうやって未練ったらしく、あとがきなんぞを書いている。ブログの記事に、あとがきもないだろうに。
今回の文章は、あたりまえだが
AppBankがいなければ書くことができなかった。
@entrypostmanさん、
@appbank君、
@kazuend君、
@toshism君に感謝を。僕の引退後の物書き人生の最初に、すばらしい刺激を与えてくれている。彼らから受け続ける刺激がなければ、僕は筆を折っていたかもしれない(それはないw)。こうやって書かれることは、きっとまだ、彼らにとって本意ではないはずだが、今回の2つの企画を通してくれて、ありがとう。
AppBankが大成功して、誰かが
AppBank研究本を書く時に、二次資料になれば幸いだ。
最後に、長年、
ファミ通の編集長を務められた
エンターブレイン社長、
浜村弘一さんがおっしゃったお言葉を。失礼にも、僕が「浜村さん、
Xboxは国内でも大ヒットすると書かれていましたが、そうはなってないですよね?」とお聞きした時に、答えられたお言葉だ。
「倉西君、僕はね、ゲーム業界にとって最高のシナリオしか書かないんだ」。
20世紀の終わりにゲーム雑誌が起こした革命は、鎌倉でその戦いを継続している。
※この文章はmobile ASCII掲載「鎌倉JAPAN」の取材記として書かれています。内容は、倉西自身の主観に基づくものです。