【鎌倉NIPPON 08】霧雨、mobile ASCII

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20100701085355 その日の鎌倉は、雨だった。降っているというよりも、身体にまとわりつくような霧雨。僕が鎌倉を訪ねて、雨だったのはこの日だけだ。@entrypostmanさんと@appbank君は、わざわざ駅まで迎えにきてくれていた。 「倉西さん、あれ、どう思いますか?」。 @appbank君はいつも、僕の顔を見た途端に最新の話題を振ってくる。たいていの場合は、その日のAppBankの朝刊に載ったような話題か、セール情報、もしくは最新のレビュー記事で紹介されたアプリの話だ。鎌倉を訪ねるのは、いつも昼ごろだ(この日は、少し遅かったが)。移動時間も短くはないので、僕にとってはその日の最初の仕事であることが多いのだが、彼らは午前5時から作業している。仮に9時始業にたとえて考えると、昼の時点ですでに夕方だ。その日の話題がたまっていてもおかしくはない。 @entrypostmanさんと@appbank君と歩く時、沈黙は一切ない。iPhoneについての会話は一瞬も途切れることがない。傘をさしていても、それは変わらなかった。ただ、この日がいつもと違ったのは事務所には向かわなかったことだ。鎌倉駅から事務所に向かう途中のカフェ。「ここは店の中に喫煙席があるんです」と言いながら@entrypostmanさんが店に入っていったが、いつからルールが変わったのか、喫煙はテラス席のみということだった。タバコを吸わない@appbank君にとってはいい迷惑だったのだが、風が吹くと濡れてしまうようなテラス席についた。 席につくやいなや、おもむろに@appbank君がMacBook Proを開き、発表されたばかりのiPhone4の価格に関する記事を書きはじめ、目と鼻の先の事務所にいる@kazuend君と電話でやりとりをはじめた。mobile ASCIIのためのインタビューは、その記事がAppBankに公開されてからはじまった。 「倉西さん、吉田さん、ちょっと御相談があるんですけど」。 中島編集長から、MacPeopleの吉田編集長と僕に声がかかった。「御相談が……」などと言われたら、まず「めんどくさい」と考える。感じるのではなく、そう考えるようにしている。最初から積極的に企画に向かってしまうと、僕は「自分は一人しかいない」「一日は24時間しかない」という基礎的なことも忘れて際限なく作業しようとしてしまう。「めどくせぇなぁ」くらいで話を聞いていた方が、結果としてうまくバランスがとれることが多い。 6月末にmobile ASCIIという増刊号を考えている、この増刊はiPhoneAndroidガラケー、3つとも扱うものだ、そのiPhone部分を吉田編集長と僕に担当してほしい。中島編集長の話は、およそこういうことだった。この4月、僕は吉田編集長が手がけたiPhonePeople創刊号のゲームページを担当した。その流れで話がきたのだろう。3つのプラットフォームを扱う150ページほどの増刊なら、まぁ、順当に考えればiPhoneが50、60ページほどで、その全体を吉田編集長が仕切って、その中に6ページか8ページほどゲームページがあって……という僕の予想は裏切られた。mobile ASCIIの構成案は、そんなシンプルなものではなく、最大10ページ程度の特集が、言葉は悪いがいくつも雑然と並んでいるというものだった。個人的には「雑」誌なので、こういう読者を惑わせるような構成は好きなのだが、IT系の情報誌ではどうだろう……。 KARAREMICHIコーナー。 どうだろう……どころではなかった。構成案のど真ん中に10ページ程度のスペースがあり、そこに見慣れたアルファベットが並んでいた。 「ナカジさぁ、これなに?」。 「狩られ道さんのコーナーです」。 「誰だよ? 狩られ道って」。 「倉西さんです。iPhoneの企画です」。 「なにやんの?」。 「倉西さんが、普段、iPhoneを触っていてですね、いろいろ感じることとか、考えていることとか、ぶわぁーっとですね……」。 「もういい、わかった」。 雑誌の企画は、こんなふうにはじまることも多いのだが、このミーティングの段階でAppBankを取材してiPhone市場とユーザーの流れを考察する企画、タイトルは「鎌倉JAPAN」という大枠はあっさり決まった。そして、mobile ASCIIに関するミーティングは、結局、この一回しか開かれなかった。出張の多い中島編集長とのやりとりは、すべてメールで行われたからだ。 「どーんと大波に乗ったつもりで」。 「鎌倉JAPAN」。その企画骨子をAppBankの二人に送り、鎌倉の事務所を訪ね、簡単に説明しようと思ったのだが、@appbank君から返ってきた第一声はこれだった。 「大丈夫です、任せてください、やりますよ、この、講演依頼大殺到の@entrypostmanが! 6月だけで3回? 村井先生、3回だっけ? とにかくビッグウェーブが来てますから」。 その場で訂正はしなかったが、乗るなら大船だ。大波に乗るって、それ、ひっくり返るってこと? とは言わずに、僕は「本当にやる? この企画」ということだけ再度確認して東京に戻り、二人にメールを打った。 インタビューの場所は、事務所以外でお願いします。 僕が二人にお願いしたことはそれだけだった。これは直感のようなものなのだが、東京に呼び出すまではしなくても、彼らをAppBankという場所からは引っぱり出す必要がある。そう感じていた。もしかすると、逆だったかもしれない。AppBankの事務所では、僕がくつろぎすぎるのだ。 結果、霧雨のテラスで行われたインタビューは2時間以上に及ぶ内容の濃いものになった。インタビューとしては大成功だったのだが、とても8ページの誌面で収まるものではなかった。そのことが、誌面企画「鎌倉JAPAN」と対をなす本稿「鎌倉NIPPON」のきっかけである。 ※この文章はmobile ASCII掲載「鎌倉JAPAN」の取材記として書かれています。内容は、倉西自身の主観に基づくものです。
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