【鎌倉NIPPON 06】トリニティ

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この時期、2009年秋から2010年春にかけて、mobile ASCII掲載企画「鎌倉JAPAN」の前提となる時期のAppBankの活動で、印象に残っている2つめの出来事は「ポケットべガス」のリリースだ。 AppStoreの新作アプリは、午前零時にリリースされることが多い。そして、なぜかその数十分前からダウンロードできるようになったりもする。「ポケットべガス」リリースの前日、僕は会食を早めに切り上げてタクシーに乗っていた。午前零時までにはMacBook Proの前に座れるはずだったのだが、なぜかその日のタクシーの進みはやや遅れていた。気ばかりあせった僕は、もう間もなく着くというのにiPhoneを取り出し、ツイッターのタイムラインをチェックした。 「リリースおめ!」。 午前零時まではまだ少し間があったのに、すでに宇宙カジノは大にぎわいのようだった。その瞬間に、僕は5分の差で参加することができなかった。このことは今も残念でならない。 「ポケットべガス」もまた、何人ものコンシューマゲームクリエイターを驚かせたタイトルだ。まずなによりソリティアクロンダイク)で対戦するというアイディアに、皆一様に驚いていた。この点を、僕もうまく説明することができない。なぜ、ソリティアの対戦がこんなにもおもしろいのか? この根源的な問いに答えを出すことは困難だ。ただ、「ポケットべガス」で対戦するソリティアがおもしろいということであれば、いくつかの答えが出せる。最大の1つは、やはりスピード感ではないだろうか。「ポケットべガス」のソリティアでは、基本的により速くクリアすることをめざすが、対戦している誰かが手づまりになった、あるいはクリアした場合は、残りプレイ時間が10秒になり、ゲーム終了時点でのポイントで勝敗が決まる。この流れが、実に楽しい。ソリティアタイムアタックとスコアアタック、2つの要素をもり込んだところが「ポケットべガス」オリジナルのアイディアであり、それがクリエイターたちを驚かせたポイントだった。 また、「ポケットべガス」の音楽も特筆すべきポイントだ。これは、メジャーなゲームデベロッパーではないAppBankからリリースされた、しかも無料のアプリで鳴る音楽ではない。あきらかに、そのレベルを大きく逸脱している。はじめて鎌倉の事務所で聴いた時、僕は「こんな感じの音楽を発注しているんだろう、そのサンプルとして、なにかのゲームの音楽を選んだんだろう」とかんちがいしたくらいだ。まさかそれが「ポケットべガス」に収録されるオリジナルの音楽だったとは。@entrypostmanさん曰く「RPGのラスボス戦のような音楽」が、対戦中、常に鳴り響く。何度書いても書き足りないくらい、このクオリティの高さは異常だ。 「宮川義之(ゲーム開発)、佐野信義(音楽プロデュース)、二人の天才と出会って「ポケットべガス」は生まれました」。 アップルストア銀座のプレゼンテーションで、@entrypostmanさんも自信満々にそう話していた。 もう1つ、僕には「ポケットべガス」で注目しているポイントがある。それは、ツイッターとの連携だ。「ポケットべガス」はオンラインゲームなので、なにがしかのIDを必要とする。ツイッターアカウントがなくてもプレイはできるが、そのIDとしてツイッターアカウントを使うことができるという点に大きな可能性を感じるのだ。ここを掘り下げていくときりがないうえに、直接的には本稿のテーマではないので省略するが(いつか話してみたい/彼らに聞いてみたいテーマではある)、ツイッターの特徴である属人性の高さと日常との連続性を、「ポケットべガス」はうまく昇華している。すでに構想中のことかもしれないがあえて言えば、アプリの中に機能を制限したツイッタークライアントを組み込み、さらにAYAのツイート機能が強化されれば、よりプレイヤーの日常に踏み込んだ対戦ゲームになるはずだ。 この時期、AppBankはもう一本、アプリをリリースしている。@appbank君の実の妹であるモデル/三枝こころさんをフィーチャーした時計アプリ「こころくろっく」だ。開発を大ヒット時計アプリ「LCD Clock」のforYou inc.が担当しており、設定等の操作もわかりやすく、完成度が高い。そしてなにより三枝こころさんの表情、アラーム用に収録されている音声が魅力的なのだが、325枚という破格の収録画像枚数とともに、このロケが、たった1日で行われたということに驚かされる。偶然、このロケの数日前に鎌倉を訪ねていたのだが、「一日で撮り切ります!」と、ちょっと引くくらい異常なテンションではりきっていた@entrypostmanさんが思い出される。そのテンションも納得だ。325枚の収録画像を含む、おそらく1000枚以上の画像を、1日で撮ろうとしていたのだから。 「ポケットべガス」「こころくろっく」のリリースは、AppBankという活動体の性格を大きく変える出来事だった。月間1000万をはるかに超えるPVを誇るメディアがあり、ツイッターを徹底的に活用して形成されるAppBankオリジナルのコミュニティがある。この2点だけでも十分注目に値するのだが、そこにさらに「ポケットべガス」「こころくろっく」というコンテンツが加わったのだ。メディアとコミュニティとコンテンツ。彼らが標榜する三位一体の、最後のピースが2つのアプリだった。 メディアとコミュニティとコンテンツ。 mobile ASCII掲載「鎌倉JAPAN」でも触れているが、今後のエンターテインメントビジネス、新しいメディアの在り方を考えるうえで、この3点は非常に重要かつ示唆に富むポイントだ。また、本稿「鎌倉NIPPON」においても結論に当たる部分の中心にある。その結論に至るために、もう少し、前提となる時期のAppBankを見ていきたい。 ※この文章はmobile ASCII掲載「鎌倉JAPAN」の取材記として書かれています。内容は、倉西自身の主観に基づくものです。
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