【狩られ道黒毛 2/2】『MH』とはなにか？　インタビュー後記（その1）[倉西]

辻本P「今回は『MHP』が出たから『2nd』を作ろうというような単純な流れではなく、『MHP 3rd』ということに向けていろいろせなあかんことがバーっと出てきて、それを整理していって、「うん、これやったら『MHP 3rd』になるね」という段階に至ったところで、作りはじめました」

一瀬D「ゲームになにかをつけ足していくだけだったら、簡単ですよね。でも、今回は根本的なところから考え直しています。極端なことを言えば「回復薬って、本当に必要なの？」というところから考え直したんです。今まではあたりまえにあったものでも、『MHP 3rd』的にはなくすものがあってもいいと考えています。回復薬がどうだという話ではなく、ですね。『MH』の根本は守りながら、『MHP 3rd』にはなにが必要で、なにが必要ではないのか、ハンターの挙動、モンスターの挙動も含めて、見直しました。『2ndG』だけではなく、『MH3(tri-)』のものも検証の対象にしながら、ユーザーさんの御意見や自分たちの考えを確かめていきました」

このあたりのお話をお聞きして思い出したのは、『MH3(tri-)』発売前後にインタビューです。あのころのインタビューで、辻本プロデューサー、藤岡ディレクターは、くりかえし「MHを再定義する」ということをおっしゃっていました。今回、一瀬ディレクターも同じことをおっしゃっています。

「回復薬ってなんだろう？」というレベルからの問い。

これは尋常ではないですね。回復薬ですよ、回復薬。単なるたとえだとは思うのですが、それくらいのレベルから考え直すということは、まさに再定義、再構築と呼ぶにふさわしい作業だと思います。考えてみればシリーズ第1作発売から5年強です。その間、新たなハードも発売されてきましたし、『MH』自身、PSPやWiiへとその舞台を変えてもきました。どんなに優れたゲームであったとしても、プログラムとしてといいますか、根本のところに見直しが入ってもいい時期でしょうし、入れなければいけないタイミングになってきていたのかもしれません。むしろ逆ですね。優れたゲーム、ゲーム性だったからこそ、この5年を、そうやって通過し、大ヒットタイトルになったのでしょう。このあたりの葛藤やジレンマは、とても想像ができないくらい大きいんでしょうね、きっと。

辻本P「当然ですが、『MHP 3rd』が発売されるまでは、みなさん、まだイメージとしては『2ndG』が強いですよね。それをひっくり返すようなこと、想像もされていないようなところに行きたいなと思っています」

一瀬D「とにかく『MH』であるということ、『MH』の要件だけは、はずせないと考え続けています」

辻本P「ユーザー層は想定していません。もともと、『MH』はゲームマニアの方だけでなく、いろんな方に楽しんでいただける、いろんな要素が入ったゲームだと思っていますから。その可能性を制限するようなことは考えていません」

一瀬D「辻本も「対象は全ゲームユーザーです」というように、『MH』が狙っているのは、そういうことです。これまでのタイトルを通して『MH』というゲームとして御評価いただいたところはしっかりと残しながら、「どうですか？　今回、こういうのやってみました」という提案はしていきたいです。和風のテイストといいますか、『MHP 3rd』の特徴的な世界観も、今回、試してみたことの1つです」

『MH』とはなにか？

このあと、インタビューの話題はどんどん核心に移っていきました。自分がインタビュアーではなかったということもあるのでしょうが、お二人のお言葉は、非常にスリリングなものでした。まだお読みいただけていない方はぜひぜひ、電撃ゲームスのインタビュー記事をお読みいただきたいのですが（原稿執筆時点、僕もまだ読んでないんですけどねw）、いや、すごいおもしろかったです、本当に。というわけで、予告通り、この話題はまだまだ続くのでしたw（株式会社アスキー・メディアワークスゲームメディア主筆／倉西誠一　201004181528　母／倉西康子の45回目の誕生日に。なお、45という数字は公称です）

※この文章は電撃PlayStation 4月30日発売号に掲載されたものです。