【GAME ON iPhone 2010 VOICES】エレクトロニック・アーツ [倉西]

■お答えいただいた方／橋本裕氏（EAモバイル　ジェネラルマネージャー） 【1】iPhoneタイトルを開発、販売されてきて、今、感じていることを率直にお聞かせください。 AppStoreは世界中に向けてアプリを販売できるプラットフォームですし、弊社の場合は、最初から「世界中に向けて売る」アプリを開発することが大前提となります。その分もしかしたら、日本のお客様に特化したチューニングができていないと感じられるケースもあるかとは思いますが、グラフィックやゲームのボリュームなど総合的な質では決して劣らない、「世界品質」のものを出し続けていきたいと思っています。去年リリースした脱出ゲーム「Mystery Mania」のように、当初日本であれほど売れるとは思ってなかったようなアプリが評価されるなど、いい意味で作り手の予想を超えた反応があるところも、このグローバルなプラットフォームならではの面白さだと思います。 【2】御社iPhoneタイトルについて、最も印象に残っているものを1本と、その理由をお聞かせください。 最近の例では『Need for Speed Shift』です。当社の場合は、iPhone向けの新規のゲーム以外に既存タイトルの移植も多いので、今までのお客様の御期待にお応えしつつ、かつiPhone向けにどう最適化するか、ということが常に命題となります。『Need for Speed』もシリーズとして過去幾つものプラットフォームで楽しんでいただいた作品であり、そのイメージを損ねずに、いかにiPhone向けとしてのよさを出すかに苦労しました。iPhone向けの前作『Need For Speed Undercover』の評判もよかったため、逆にそれがプレッシャーになった部分もあります。結果として、操作性、グラフィックともに、胸を張れるレベルのものになったと思っています。 【3】現状のiPhoneアプリ市場について、どのようにお考えになっていますか？ グローバルにおいて日本市場の占める割合はまだ大きいとはいえないものの、2009年後半より感じていることは、確実に市場が育ってきているということです。スマートフォンの割合が拡大するというトレンドもありそうですし、今後も市場の拡大が続くことを期待します。 【4】iPhoneアプリの未来像を、どうイメージされていますか？ 市場規模としてはしばらくは伸びていくというトレンドは続くと思いますが、それを考慮しても、日本の携帯電話全体に占めるスマートフォンの割合は、おそらく海外での比率と比べると小さいでしょう。日本向けというより、世界全体でどれだけ売るかが、iPhoneアプリで絶対に忘れてはいけない視点であり続けると思います。 近々のトレンドでいえば、無料+アイテムなどの個別課金というモデルが今後増えてくるのではないでしょうか。 【5】iPhoneアプリ市場の将来性について、どのようにお考えになっていますか？ 当面は【4】で述べたような状況が続くと思いますが、長期的にはAppleがどのような戦略をとるか（他のスマートフォンに対してどのようにふるまうか）で大きく変わってくると思います。例えばSafariがフラッシュをサポートするかどうかの一点だけでも、市場環境は大きく変わるのではないでしょうか。 【6】2010年内にリリースされる予定のタイトル数をお聞かせください。 まだ未確定なのですが、2009年のリリース数も考えると、20～30本程度でしょうか（無料版やアップデートを除く、新規リリースのみの数）。 【7】最後に、弊誌読者に御社iPhoneタイトルをアピールしてください。 今のいち押しは『Need for Speed Shift』です。前作『Need For Speed Undercover』を楽しんで頂いた皆様の期待に沿うような、グラフィック、操作性ともに優れた、iPhoneのアプリで最高のレーシングゲームの一つと自負しています。是非一度トライしてみてください。 エレクトロニック・アーツ 他機種同様、マルチプラットフォーム戦略の一環としてiPhoneタイトルも展開するエレクトロニック・アーツ。有名タイトルが並ぶラインナップは魅力的ですね。iPhone向き……というと「シムズ」あたりどうかな？　と思いつつ、思わず「FIFA10」のインスタントリプレイをいじってたりw