週末レビュー 「PERSONA3」 第4回 2/2
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PERSONA3 往復メール・第3回(20060705・0707)
■第3往復 橋野さん→倉西
【件名】
いろんな意味でリアルですよ。
【本文】
お世話になっております。アトラスの橋野です。
順調に進められているようで、安心しました…と言いつつ、
>学校って、やっぱり悩ましいところなんですね。
悩ましいですか?w
今回は、(ようやく?w)ゲームの実際のプレイ感について、
悩ましい日常の進め方のヒントになれば…と、
コメントを付けさせて頂こうと思います。
>個人的にはタルタロス探索に重きを置いて考えてしまいがちなのですが、
>学校での過ごし方の影響が大きいとなると、こちらもおろそかにできない。
おそらく、いま序盤(5月辺りかな…と、なんとなく推測してます)を
プレイされていると思うんですが、このゲームは、システム上は、
タルタロスの攻略自体は”行っても行かなくても話しが進む”設定になっています。
もう、お気づきだとは思いますが、タルタロス以外で、シャドウが発生する、
シナリオに深い関係のあるミッションが適時発生するようになっていて、
これが年間に様々な形で、ミッション用の探索ダンジョンを含め、数多く用意されています。
よって、タルタロスは、これらをクリアしていく為の“修行の場”という位置づけなんですね。
ですから、理屈上は、ミッションが達成出来さえすれば、
タルタロスでパーティーを鍛えなくてもいい…ということになりますが、
もちろん、そんなに甘くは無く(笑)、その辺りのバランスはきっちり取っているので、
攻略の基本は、やはり、タルタロスを如何に登るか…ということに重点を
おかれるのは、間違っていないと思います。
>まず悩んだのが部活選びなのですが、
>結局、陸上部に入りました(個人的に陸上部に在籍していましたから)。
部活に関しては、何を選んだから、有利、不利ということはないです。
そういう選び方をして頂いて、全く問題ないというか、
逆に、そういう遊び方を推奨したいですね。
確か、以前のメールで、県大会2位…の成績を修められたとありましたね。
実は、今作では、そういったイベントも用意してあるので、
思い出が蘇ってくるかもしれませんよ。
>どうしても「攻略!」みたいな視点でゲームをプレイしてしまうことが
>多いのがいかんですね、職業病といいますかorz
やっぱり、そういうの(職業病)ってあるんですねw
開発者がゲームプレイ中、つい、デバック的な行為をしてしまう…とかに似ているかもしれません。
…さて、学校パートの過し方ですが、これによって、ペルソナ能力の傾向が
大きく変わっていくことになります。でも、コミュとある程度関わりを持っていれば、
総体的には、大きく攻略に有利不利が発生する…ということは
ないと思います。(但し、学校終わったら、何もせず、帰って寝る…などを繰り返すと、
システム的にもかなり寂しいことになるとは思います(笑))。
学校パートの位置づけとしては、タルタロス攻略、そして、
その先にあるミッション攻略の為の“準備の場”…という感じですね。
ですから、ここはあまりカツカツにならず、
気の向くままに、日常のプレイをまったりと過して頂きたいと思いますね。
半ば無意識で行ったプレイによって生まれた状況の偏向に合わせ、
カスタマイズや、戦闘の攻略を進めていく…というやり方がいいと思います。
>時々、仲間が疲れていて探索に出られない日もありますorz
>いや、あれ、出てもいいのかな? でも、僕は出ないようにしていますが。
仲間の疲労は、一晩でタルタロスで長時間戦闘を行っていると、
途中で、疲れて帰ってしまうというものですが、
それほど気にする必要はありません。
…というのは、大事な一戦などを控えた前日などは、
仲間と幾らタルタロスに潜っても、大丈夫なようにしています。
(例えば、スポーツなどの試合前日の練習中に、
疲れたから先に帰る…という選手はあまりいないかなと…)
仲間のレベルの低い序盤は、比較的、疲労が早く出ますが、
レベルアップしていくと、スタミナがどんどん付いていき、
かなりの戦闘回数をこなせるようになっていきます。
一度、疲労になると、翌日などはタルタロスに連れて行けないことが
多いですが、これもメリハリを付ける為の演出です。
開発中、この設定をスタッフと相談した際は、
いつも、“飲み会”の例を出してましたね(笑)。
飲みに行く時って、皆が揃っているときに「いこう」ってなるし、
飲み屋から出るたびに、人が少しづつ帰っていくじゃないですか。
あの感じです(笑)。
タルタロスを飲み屋に例えるのもイメージ悪いな(笑)と思いつつ、
一人でも、一緒に行きたい仲間がいれば、
行っていいと思いますよ。もちろん、戦闘は不利ですけど、
戦闘参加人数が少ない方が、経験値が多く入手出来ますし…;
また、序盤こそパーティ編成メンバーが少ないので、
仲間が疲れていると、タルタロスに行きにくくなりますが、
中盤以降、仲間が増えてくると、主人公以外のパーティメンバー全員が、
疲れて帰ってしまったとしても、タルタロスのエントランスで待機している
メンバーで新たにパーティーが組めるので、
相当長い時間、タルタロスを攻略し続けることが出来ると思います。
この辺りのバランスは、時間を掛けて煮詰めているので、ご安心ください。
>特にお買い物は忘れます。
やっぱり、忘れますか(笑)
これ、僕も含めて、うちのスタッフも、皆、言ってたな(笑)
前の日、タルタロスから帰るとき、「明日は、地返しの玉(←回復アイテムです)
を買ってから潜ろう…」と心に決めても、
寝て起きると、すっかり忘れて、気づけば影時間…っていうパターンですね。
寝て起きるとやろうとしていたことを忘れるって実生活でも良くありますよね…。
妙に、リアルですごく気に入っています(スイマセン;)
実は今作には、こういう種類のリアルさが、あちこちに散らばってまして、
なかなか、いい味が出たような気がしています。
(例えば、異性と放課後を過してから、寮のラウンジに帰った時の、
アノ感じ…とか(笑))。
>発売前ということで、わりと説明的に書いてしまいましたが、たぶんこれ、
>プレイヤーのみなさんが初期に感じることだと思うんですよ。
>何かアドバイスみたいなものがあれば、お聞かせください。
カレンダーを使ったゲームは、これまでも多数、存在していますが、
ペルソナ3は、複数回のゲームプレイを前提に作ったものではなく、
基本的に1回のプレイを前提にしている点が、大きく異なります。
これまでメールのやりとりをさせて頂いた中で、少し触れた部分でもあるのですが、
“気づけば過ぎ去っていく時間…”というリアリティを、
プレイヤの多くに感じて欲しいからです。
よって、これからゲームを始めるプレイヤに、アドバイスをするとしたら、
倉西さんのような(笑)“攻略”という頭から、少し離れて、
肩の力を完全に抜いて、まったりと進行してもらえれば、
ペルソナ3の世界にうまくはまり込めるのではないか…と思います。
随分、長くなってしまいましたね;
最後に、学校パートというか、日常進行について、少しだけ。
随分前ですが、若者をとりまく現代社会を”終わりなき日常”と表現した社会学者がいました。
(取り方も様々とは思いますが、なんともうまい表現だと思います)
今作で表現した物語序盤~中盤までの日常は、そうした”感覚”に近いものにしています。
4月にゲームが始まり、翌年の春に、プレイヤはエンディングを迎えることになりますが、
中盤以降、日常進行の感覚は、序盤部とは大きく変わっていきます。
この辺り、ゲームの深い部分での、大きな感じどころの一つとして制作しています。
上に書いたアドバイス(?)に加えて、プレイヤの皆さんにも、
楽しみにして頂けたらと思っています。
今回はこんな感じで。
次回は、遂にタルタロスの中のお話ですね。
敵は、なかなか手強いはずなので、どんなことになっているか、心配(?)ですが、
今日は七夕なので、”奮闘”されることを願っております(笑)。
では!
2006/7/7
橋野 桂