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まだクリアできていません、すいません。編集部にも、やっぱり趣味でプレイしている人間がいるのですが、そんな連中の会話を聞いていると、進捗としてはちょっと遅いくらいかな? という感じです。あと、このレビューでは、「
逆転裁判」の過去シリーズについては触れないことにします。DSという特異な市場での最初の「
逆裁」ですから。そのことは、ものすごく大きな可能性を持っていると考えるからです。
かつて……まだ家庭用ゲーム機が8BITもしくは16BITマシンだった時代、テキストを主体とした
アドベンチャーゲームは人気ジャンルの1つでした。僕は実はあまり得意ではなかったのですが、「ポートピア殺人事件」や「
北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ」(どちらも
堀井雄二さんの作品ですね)等、名作と呼ばれるものも数多くありました。テキスト主体でリアルタイム処理のない(少ない)
アドベンチャーゲームは、ジャンルの性質がマシンの貧弱さを問わないものでもありました。あくまで
私見ですが、その流れは
PlayStationで変わったのではないかと思います。かつては
アドベンチャーゲームをプレイしながら頭の中で補完的に想像していたようなシーンが、そのままゲーム画面になっていて、しかもリアルタイムでキャ
ラクターを操作できるようになったのですから。想像して補完する必要がないなら、人間、新しさもあって、そちらに流れると思います。
要は、ゲーム表現における時制の問題なのではないかと。システムにもよりますが、ゲームというのは不思議なエンタテインメントで、時制というか時間の流れを自由にできるという性質を持っています。ものすごい緊迫した
RPGのラスボス戦でも、たいていの場合はポーズをかけたりコマンドをじっくり選べたりします。その一方で、現実にはあり得ないような超高速の世界も体験できます。映画等のエンタテインメントでは不可能なことなのですが、ユーザーのプレイだけがゲームの中の時間を進めるものですから、その時制、設計をどうするかも、制作者に委ねられているわけです。
どんどん「
逆転裁判4」から離れていってしまいそうなので、ここでぐっと引き戻します。おそらくは世間で言われている「
逆裁」の魅力のすべてが、その根拠でもあるのですが、僕が「
逆裁」をプレイしていて感じるのは、この時制……正確に言えば時間制御とストーリー進行の絡み合いから生まれる知的な興奮のようなものです。(基本的には)法廷を舞台としていること、証拠を突きつけて証言を崩すというスタイル(まるで時間を巻き戻しているような感覚)、そのどれもが僕に興奮を伴うプレイ時間を与えてくれます。アクションゲームではないのですが、意外なくらい、電車の中でのプレイに向かない気がしますw いや、冗談ですよ、たとえて言えば、ということです。それくらい夢中になってしまって、現実に何分進んだか? ちょっと見失ってしまうような時がある、ということです。
マシン性能が向上して、
アドベンチャーゲームの多くがアクションアド
ベンチャーに敗北していった時代から、約10年を経て、「
逆転裁判4」は、マシン性能ではない、テキストとシステムによって、リアルタイムという、一種、技術の暴力に勝利して特有の表現を獲得しました。もし、日本語を読むことが苦ではなくて、週末にでもまとまったプレイ時間も取れるという方は、プレイしてみてください。最近、なまはんかな本では味わえない知的興奮が味わえます。